【後期研修医日記】獅子舞
秋は祭りの季節だ。
診療所が建っている大津町でも祭りがある。
ある秋の日の朝礼で事務長「明日は大津町の祭りで獅子舞がきます」。ってソレ業務連絡なのか?
でも翌日、私は市民病院の当番で診療所を空けていたけれど、午前中本当に獅子舞が来た!
通所リハビリに来られている利用者さんや高橋所長も頭をカジってもらったらしい。なんでも、縁起モノなんだそうな。
いやー、見たかったな。
秋は祭りの季節だ。
診療所が建っている大津町でも祭りがある。
ある秋の日の朝礼で事務長「明日は大津町の祭りで獅子舞がきます」。ってソレ業務連絡なのか?
でも翌日、私は市民病院の当番で診療所を空けていたけれど、午前中本当に獅子舞が来た!
通所リハビリに来られている利用者さんや高橋所長も頭をカジってもらったらしい。なんでも、縁起モノなんだそうな。
いやー、見たかったな。
認知症独居の患者さんのところに往診に行っている。
前に私が設置したブロック足台はそのまま利用されている様子。
今回は、
「TVが壊れて娘の婿が新しいTVをすぐに持ってきてくれた。夜中に。」
「良かったじゃないですか。いい婿さんですね。」
「電気屋だけん。それが、NHKをみたいのにならん。映らん。」
「映らないんですか?」
TVを点検。
最新の液晶TVだ。結構大きい。コンセントを入れたらちゃんと電源は入る。ケーブルも接続OK。でも番組は映らない。説明書を開いて設定を始めからやり直す。
「あー、映ったよほら。」
「あー、本当だねえ。すみません、どうも。」
いや、TVのことは電気屋に頼めばいいのかもしれないけど、ちょうど頼みやすい相手が来たってことなのかな。
定期来院の患者さん。60代女性。高血圧で通院中。定期だけど受診間隔が長い。
「血圧の薬、もうなかったでしょう?」と問うと、「ちょくちょく飲んでいたからまだあったよ。」と。
「ちょくちょく?」
「毎朝血圧を測ってね、測れって言われてたから。で、血圧が140を超えてたら薬を飲むようにしてたんです。」との仰せ。
前回、降圧薬の効きがイマイチで他の薬を追加した人だったが、飲み方に問題があったのか!
初めて知ったぞ!
「うーん、お薬は血圧が140以下でも毎日内服する様にしましょうね。血圧が落ち着いてきたら、診療に来た時にお薬を調整しますね。」とお話&手書きメモを渡して帰っていただきました。
降圧薬は毎日飲むもの、というのは医者の常識。でも、彼女の常識ではなかった。
患者さんは自宅に居た方が元気になる。ような気がする。
病院から自宅に戻られた、癌の末期の方。この前の人とは別の人。
病院での主治医先生も「もう、いつ何があってもおかしくない状態です」と言われる方。最後に自宅に戻ることを望まれた。自宅に帰るにあたっては、色々とクリアすべき課題がある。大変だったけど、自宅に戻られた日に彼女は訪問看護師さんに言った。
「サイコー」
その後、自宅で過ごされた時間は短かった。でも、戻られて良かったと思う。
煙草を止めようと思ったら、禁煙外来に相談しよう!
まず、煙草を捨てよう。吸わないなら持っててもショウガナイ。
それと、灰皿も処分しよう。吸わないなら持っててもショウガナイ。
それから、ライターも要らない。吸わないなら持っててもショウガナイ。
家族や友人に、煙草をヤメル宣言をしよう。
診療所の禁煙外来は結構盛況。意外と皆さん止めれている。
「煙草を止めて、胃の痛みが治まった」といつも心窩部に湿布を張ってたおじいさん。
「煙草を止めるって、『ずーっと』ってことだよ」と4歳の孫に諭されたおばさん。
「禁煙なんて簡単。ワシなんて何十回もヤッた。」と悟りきったおじいさんも。
みんながんばれー。応援しているぞー。
金を払って毒を吸うのは止めよう。美容と健康と美味しいご飯のために。
診療所では医師と看護師と事務さんが一緒に昼食を摂る。
ある昼食時の看護師Kさん
「昨日TV見てたら、すっごい大金持ちの家が出てて。ソコん家の子は自分のマンガがどこにあるか知らないんよ。言ったらお手伝いさんが持ってきてくれるから。凄いなーって思って。」
「で、振り返ったらダンナとコドモが部屋の真ん中で一生懸命、何かカードゲームのカードを整理してるのよ。頭くっつけあって。」
「それ見てたら、『あー、私こっちのほうがいいわー』って思っちゃった。」
モノもカネも少しは必要。
だけど、ハッピーの必須要素は違うところにあった。
診療所では医師と看護師と事務さんが一緒に昼食を摂る。
そして、食後のオヤツを食べる。
食後なのに、チョコとか煎餅とか饅頭とかカステラとか柿とか葡萄とか梨とかクッキーとかビスケットとかドーナツとかどっかのお土産とか季節の菓子とか。
いつも思うのだが、
一つを食べ切ってから次の袋や箱を開けるべきじゃないか。
果物とか傷みやすそうなものから優先的に消費すべきじゃないか。
消費量をコントロールしつつ、次にどれを開けるか計画的に進めるべきじゃないか。
そうやって、計画的にしたらオヤツ消費量もある程度抑制できるんじゃないか。
でも、現実は違う。
みんな、欲望のままに次から次へと袋を開け、箱を開け・・・。
「あらセンセーすみませーん。開けちゃいましたー。」と看護師Tさん。
開けてからいうなー!絶対確信犯だ、絶対。
そんな無計画に開けまくったら、空けなきゃいけなくなるじゃないか。開封後の賞味期限を考えようよ。
最近になってようやく悟った。
計画経済は欲望を満足させないってこと。そして欲望こそが優先されるってこと。
認知症独居の患者さんのところに往診に行っている。
ある日往診に行ったら、自宅前の道まで出迎えに来てくれていた。
「そろそろ来る頃かと思って。」
そのまま、一緒にご自宅へGO!
患者さんが玄関を上がるとき、
「あっ、危ない!」
手すりにつかまって、よじ登るように玄関に上がる。重心はかなり後ろに傾き、ウインドサーフィン状態。ちょっとでも手を滑らせたらコンクリートのタタキに真っ逆様だ。
「これはヤバイ。いつか怪我する。」
そういや、玄関の段差が結構ある。私なら一跨ぎだけど、こうやって上がってたのか。
まず、ケアマネに連絡して玄関の足台を!
いや、その前に庭とか家の周りを探索!
あ、在った在った。ブロックが2つ、同じサイズの。これを玄関に置いて上がるときの台にしよう。
というわけで、今回の往診は玄関の昇台作成。いや、診療もしたよ、ちゃんと。
診療所の投書箱は虹の箱という。
一説には、医療生協の投書箱は全て虹の箱だとも言われている。調べたことはないが。
その虹の箱、診療所の何処にあるかご存知だろうか?
患者用トイレの中だ。患者用トイレは紳士用と淑女用の個室がある。女性用トイレの中を覗いた事は無いが、男性用トイレには虹の箱がある。
事務のKoさんとKuさんに
「トイレの中に投書箱がありますよ」とご報告。
「知ってますよ。」
「何でトイレの中に?」
「人に見られずに投書できるでしょう?」
いや、そうかもしれないけど。投書って見られちゃまずい行為なのか?
そもそも、これじゃ投書箱の存在や場所が分からない人もいるんじゃないか?
でも多分、診療所という小さな所帯だからこその配慮だと思うんだ。集団が小さくなるほど匿名性って無くなるから。
お看取りをした。
最期は、私は病院の当番だったので高橋所長が看取ってくれた。
病院から、癌のターミナルで在宅に戻られた方。
患者さんは病院では食事も摂れず、スタッフに遠慮ばかりしていた方。自宅に戻られて、食欲が戻り、笑顔が戻り、お話好きの性格が戻った。俺たちサポーターは「『家マジック』が効いた!」と喜んだ。
もちろん、家でスムーズにサポートが出来たのは病棟のスタッフがしっかり「この方のこれから」を考えて送り出してくれたから。病棟に居ると「この人の生活」を忘れて「退院すること」が目的になりがち。その陥穽に落ちてない市民病院スタッフの皆さんに感謝。
でも、何週か過ぎると食欲は徐々に落ちてきて、体も動かなくなってきて、痛みはコントロールできていたけど、夜間せん妄が出たり、倦怠感が出たり。
「もうあと数日かな」と思ったとき、私と高橋所長でご家族に話をした。
病院に戻ることも出来ます。でも、このまま家で看取ることもできます。苦痛は最大限取り除きます、病院とかわらない程度に。
でも、そのあとも少しずつ食べておられて、2週間も頑張られた。家の力ってすごい。
その間、ご家族は夜もゆっくり眠れなくなってきた。息子さんをはじめ、本当に最期までよく看られたと思う。
出来るだけの事はしたけど、もっと出来ることはあったかもしれない。今でもそう思う。
でも、ご家族は「最期まで家で看ることが出来てよかった」と言って下さった。
最期を迎えられた翌日、スタッフ達とご挨拶に行った。
息子さんは少し憔悴していたけど、やりきった顔をしておられた。と思うのは自己満足か。